女子卓球部 >> 北京オリンピックの代表 福岡春菜選手 インタビュー


福岡春菜選手インタビュー


 インタビュー

帰国して,まず,どんな気持ちでしたか。
福岡選手日が経つにつれてやっぱりメダルを取りたかったなという思いが強くなってきています。帰国して,いろんな所で声を掛けてもらい,会社などでも温かく迎えていただいたので何だか力が抜けました。

初のオリンピック。「夢の舞台」に立ち,これまでの大会と比べどうでしたか。結果も含め,初のオリンピックを振り返ってどう思いますか。
4年に一度,その瞬間にしか出られない大会ですし,自分自身も,また他の国の選手も苦労して代表権を獲得してきているので,気持ちや盛り上がり方が,他の大会とは違うということを感じました。

接戦に続く接戦で激しい戦いが続きました。正念場となった試合を挙げるなら。
勝った試合よりも負けた試合の方がとても鮮明に覚えています。ここは勝ちたかった,というのは,韓国戦。この日は朝から緊張してぴりぴりしていました。団体戦のメンバー3人とも気の張った状態だったと思います。ここ最近,韓国とは世界選手権などで何度も対戦しているので「因縁の対決」のようになってしまいました。
金選手はアテネの銅メダリストですが,一目見て,金選手が今回にばっちり体調を合わせてきていると感じました。5月に行われたITTFプロツアー ジャパンオープンで今回のような試合が出来れば,私たちが勝っていたと思いますが,今回,以前にはミスしたボールをミスせず,対策をしていきていると分かりましたね。金選手との対戦を想定してダブルスを練習し,私もそのためにラケットの反転など新しい技術に取り組んできたのに,それでも,ジャパンオープンと同じようにセットオールで負けたのがすごく悔やしくて,試合後も平野さんとずっとそのことを話していました。

韓国戦,終わった後はどんな気持ちでしたか。
まだチャンスが残されていましたので,もう一回這い上がろうという気持ちでした。男子がグループを1位通過しているのを横目で見ていたので,「あー,悔しい!」という気持ちで,あきらめたくなかったですね。
オーストリア戦は,一番に愛ちゃん(福原選手)が相手のエースに勝ったことが大きかったです。愛ちゃんは前半あまり調子が良くなかったのですが,スイッチが入ったかなという感じでした。3人とも力のある選手でしたが,日本としてはやりやすい相手,これまでの対戦成績で分(ぶ)がいい相手でした。
次の香港戦は,韓国戦と同じくらい興奮しました。トップで私が負け,愛ちゃんも0-2からのスタートで苦しい戦いでしたが,勝てた要因は,やっぱり最後まであきらめなかったことと,あとは香港の選手が最後は「勝ちたい,勝ちたい」と思ってしまったのかなと思います。この試合は今でも鮮明に思い出せるし,あんなに泣いたのは初めてかもしれないというくらい,「いろんな涙」が出ました。さやかちゃん(平野選手)の試合を見て,すごく感動したのと,一度も勝ったことのない香港に勝てたという気持ちと,自分が2回負けてしまったという思いもありました。
次の韓国戦は,気持ちでは思い切っていけたのですが,相手の実力が高かった。「あと一回勝てば」というその「一回」の重さ。その差が大きかったし,韓国はスキがなかったですね。金さんの球は,回転を掛けたり,相手の回転を利用して攻撃してきたり,わざと掛けなかったり。粘るだけでなく攻撃を仕掛けたりもするので,今回は韓国の得点率も高かったと思います。

アジア大陸予選では体重が減るなどの重圧があったと聞いていますが,今回そのような重圧を感じていましたか。
中国に着いて2・3日は,深呼吸できない感じ。シングルスの前日の練習は,息を深く吸えずに,「呼吸が浅いよ」と言われるまで気付かないくらい。危険だなと思いました(笑)。団体戦でメダルが欲しいという気持ちは強かったですが,でもシングルスも,ひそかに狙っていたんです。3回戦で韓国の金選手に勝てば,準々決勝までは中国本国の選手がいない組み合わせで「オリンピックで運がきたよ!」と思ったのですが。シングル2試合とも,団体戦の時の力が抜けたのか,すごく調子が良くて,思い通りの試合ができました。

3人は試合で見えない部分はどのような雰囲気なのですか。
3人の性格はバラバラですね。さやかちゃんはめちゃめちゃ明るくて,卓球に懸ける思いは一番強い。とても尊敬しています。卓球に関して一生懸命で,とてもマイペース。愛ちゃんは,若くてハイテンション。明るい元気な子です。自分で言うのも何ですが,私が一番おとなしいのかな。愛ちゃんもさやかちゃんも10年以上の付き合い。プライベートでは一緒に遊びに行ったりご飯を食べにいったり,帰ってからカラオケに行ったりもしました。でも,ただの仲良しクラブではないし,何かあれば誰かが嫌な思いをすることになるので,そこは上手く,お互いに言うべきことは言える関係です。

オリンピックが決まって約半年,新しい技に挑戦するなど,その日までも闘いだったと思いますが,どんな日々でしたか。
「毎日がオリンピック」のようで,本当にあっという間でした。新しい技術にもチャレンジしてきましたが,オリンピックという舞台で発揮できてよかったと思います。これからの自分の卓球の幅というか,課題も見えてきたように思います。スポーツは結果がすべてですが,それはもう一回チャレンジすればいいし,やってきたプロセスはすごくいい経験になっていると思います。迷いや,不安になる日々,前向きになれる日もある中で,いろんな自分が見え,「何か分からないけどつかめるものがあるんじゃないか」という思いでやってきました。いろんな人からの思いや自分の思い・技術を含めて,大事なものをつかめた気がします。負けた試合もあるけど,私は一球も無駄にしなかったとハッキリいえるし,最後の一瞬まで絶対あきらめなかった。自分に負けないということが難しかったので,それがこの大事な試合でやり切れた。こんなに周囲から応援してもらっているからこそ,あきらめないでできたというのがあります。

周囲の人からはどんなサポートがありましたか。そのほか,応援をしてくれた人対して一言。
帰国後,ESSCさんにあいさつに行ったんですが,掲示板に今月の安全衛生目標「栄養とって猛暑を耐え,休養とって酷暑をしのぐ。やることやって五輪見る」って書いてあって,それがすごく有り難くてうれしくなりました。だから余計にメダルを持って帰ってきたかったというのがありますね。
会社の皆さん,応援してくれた人,監督・コーチ,チームメート,先輩。日本からたびたびメールをもらったり,行く前もいろんなところで壮行会を開いてもらい,幸せだなと思いました。本当にありがとうございましたと言いたいです。



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