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「ありがとう」が勝つための最低条件

レポーター 三原営業所 片岡 弘行

 スカイブルーのユニホーム,ESSCロゴ入りヘルメット,久保田スラッガーのグラブ,監督の高い声,我武者羅(がむしゃら)な姿…これが中国電力野球部(別名:竹下チルドレン)である。
 我が野球部は第1回全電力野球大会の覇者でありながら,20年以上も優勝から遠ざかっている。祈願である優勝旗の奪回,そして名門復活をめざし選手達はオフシーズンでも定期的に広島の研修施設に集まり合宿を行ってきた。私もセレクション合宿,一次合宿,二次合宿と参加させていただいた。

 初めて参加したセレクション合宿。安定した投手陣に堅実な守備,徹底されたスモールベースボールにレベルの高さを感じた。
 セレクションには落選したが特別枠として参加した一次合宿と二次合宿。昨年入社したばかりの私にとって初めて見る練習試合であった。対戦相手は山口,広島の軟式連盟でA級に名を連ねているチーム,国体で好成績を残しているチームであったりと,強豪ばかりであった。そんな相手にもベテラン投手陣の巧みなリレーや鉄壁の守備,エンドランをからめた相手のいやがる攻撃と,中国電力の野球は健在であった。結果は6試合で5勝1分,負けなしで合宿を終えた。その時私はこのチームの強さは本物であると実感した。そして大会本番では「向こう30年,中国電力には手が出せない」そう思わせる試合展開になることも容易に想像できた。おそらく私だけではないであろう。合宿を通じ自信から確信へと変わった選手も多いはずである。
 そして最高のモチベーションで望んだ沖縄。雨の心配されるなか「沖縄の空の下で…」という沖縄電力主将の宣誓で始まった第42回全電力野球大会。
 初戦の相手は東北電力。昨年,初戦で土をつけられている相手ではあるが,前日に行われた公式練習や試合直前のシートノックを見る限り,潜在能力は中国電力が上であった。しかし一発勝負のトーナメントの恐さを知っているからこそ相手を見下す選手は一人もおらず,全員が「自分達は挑戦者である」ということを自覚できていた。

 試合は先発のエース村山が8回を1失点と好投。伝家の宝刀フォークボールがいつも以上に決まっており完璧なピッチングであった。攻撃は2回に先制すると,その後もコンパクトなスイングでボールに喰らいつこうとする姿勢,積極的に次の塁を狙おうとする貪欲な気持ち。それがきっちりと結果にも現れ4得点。最後はベテラン重富が危なげなしに3人で締めゲームセット。見事東北電力に昨年のリベンジを果たした。
 続く2回戦。相手は強豪九州電力。中国電力との試合が事実上の決勝戦という声も耳にし,緊迫したゲームになることが予想できた。
 その普段以上に緊張感の張りつめる試合に先発したのは好投手三好。テンポの良いピッチングとスローカーブが持ち味であるが,その模範解答であるかのように相手打者を翻弄。凡打の山を築きスコアボードに0を並べる。途中からは前日にもリリーフとして活躍した重富が登板。ほぼ毎回ランナーを出すものの粘り強い投球で要所を締め,試合は0対0のまま終盤へ…。
 試合が動いたのは9回。1アウトから3連続長短打を浴び2点を失う。その後のバッターを打ち取り何とか2点でしのいで最終回の攻撃に望みを託す。が,9回裏の中国電力のバットから快音は聞こえず結局2対0のまま九州電力に敗れてしまい今年も中国電力が優勝旗を持ち帰ることは出来なかった。

 その試合の後に行われた東京電力と九州電力の決勝戦。両チームに対して大きな実力差は感じなかった。本当にわずかな力の差だった。しかし,そのわずかな差が″勝ち″と″負け″という180度逆の結果をもたらすということも謙虚に理解しなければならない。今のままではまだ東京ドームへは行けないということ。チームとしてさらなるレベルアップが必要であると感じた。
 白熱した決勝戦の末,東京電力の優勝で終わった大会。今大会は中国電力にとっては残念な結果となった。しかし私,個人にとってはとても充実した大会であった思う。
 まるで野球少年かのように目を輝かしてプレーする選手達。「来年こそは必ず自分もそのメンバーに入り選手としてチームに貢献する」という明確な目標が出来た。その為には私自身何をしなければならないのか。自分のポジションであるキャッチャーに求められる速くて正確なスローイングとピッチャーの力を引き出す配球。これを1年間,しっかり練習し勉強しようと思う。
 また全電力野球部には高校時代と同じように『勝利』という一つの目標に向かって一緒に頑張れる仲間と野球バカが多くいること。そしてそれを理解してくれる家族や同僚,職場の方々,本当に多くの方に支えられて野球が出来ることに感謝して野球をしていること。そんなことを全電力野球部で学び経験させて頂いた。常に「ありがとう」の気持ちを胸に野球をすることが,勝つための最低条件と思える自分になれたと思う。
 来年はこの1年間の経験を生かし,まずはメンバー入り,次はレギュラー,そして全電力大会制覇を目指し,毎日仕事に野球と頑張っていきたい。


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